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アニメ「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の主題歌
OP:Making of Cyborg 作曲・演奏・編曲:川井憲次
本作のOPです。女性がコーラスで歌っており、東洋的で神秘的な歌声と音楽が印象的です。
ED:Reincarnation 作曲・演奏・編曲:川井憲次
OP同様、川井憲次作曲によるものです。歌や音楽はOPと同じですが、EDのほうがややゆったりとした曲になっています。
アニメ「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の魅力とは?
魅力①コンピューターやサイボーグによって形成される未来社会
今までの漫画やアニメの傾向では、サイボーグというと石ノ森章太郎の「サイボーグ009」のように、特殊な能力を組み込まれたヒーローのイメージが主流でした。
しかし、サイボーグとは本来機械仕掛けの義手等を、負傷して欠損した手足の代わりに体に取りつけるというSF世界の医療行為を意味しています。
攻殻機動隊は、電脳化やサイボーグが一般レベルで浸透されている社会が舞台となっており、必要ならば誰もが気軽にサイボーグになれる時代です。
そのため、公安第9課のように職業上の必要性から電脳化したり、サイボーグになることもあります。
一方では、コンピュータの精度も飛躍的に高まっているので、ハッカーによって、電脳化された脳に別の記憶を植え付けられたり、義体を操られるという犯罪が起きています。
本編では、一般人がハッカーに操られてしまい、偽の記憶を植え付けられるという場面があるように、「攻殻機動隊」は日常や社会の細かいところまで、SF的な設定を入れ込んでいるのが特徴の一つです。
そのため、発達しすぎたテクノロジーによって生み出される悩みや、災厄を生々しく表現しています。その徹底したリアリズムこそ、このアニメが人々を惹きつける魅力ではないかと思います。
魅力②押井守監督のセンスが光る映像美
「攻殻機動隊」の監督押井守は、映像美にこだわりを持つ監督として有名です。
例えば 冒頭で、主人公の素子が光学迷彩(透明化する道具)を纏って、高層ビルから窓ガラス越しに飛び移り、犯罪を犯した外交官を射殺する場面があります。
その後、唖然となった護衛官たちが窓の外を見ると半透明になった素子が少しずつ下に降りていくという、美しい場面が描かれています。
一番注目してい欲しいのは都市描写です。本編の舞台になっている香港をモデルにした架空の都市は、空から俯瞰して見ると高層ビルが立ち並ぶ巨大都市ですが、少しずつ中に入ると様々な文字が描かれた看板が数多くあり、路地裏に入れば荒廃し薄汚れているのがわかります。
虚飾に満ちた見た目と情報で飾っているけれど、よく見ると何かが破綻している社会を暗示しているように見えます。
このように「攻殻機動隊」は、美しく退廃的な映像のなかに、様々なメッセージを込めた作品でもあるのです。
魅力③主人公素子の葛藤
本編では前述した「ゴースト」という哲学的で興味深いテーマを語っています。
主人公である素子は冷静沈着で、パーフェクトな女性に見えるますが、彼女はある葛藤を抱えていたのです。
それは全身が義体でできているがゆえに、自分自身が本当に存在している人物なのか、すなわち自分自身を決める定義「ゴースト」に悩まされているのです。
この世界は電脳化とコンピューターの発達によって、ハッキングで記憶を書きかえることが可能な技術がある世界です。
それだけではなく、彼女が使っている今の義体は職務上必要であるので国から支給されているものなので、退職したら自分の義体を国に返さなければならないのです。
そうだとすれば、「草薙素子」という人物も国によって作られた人格である可能性もあるのです。そのため彼女は、人知れず自分自身は本当に存在しているのか、幽霊のような存在ではないのかと葛藤しているのです。
アニメ「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」の感想(ネタバレあり)
攻殻機動隊を初めて見たときは、物語より映像美の方に目を奪われました。
本編の舞台となっている香港の街をモデルにした、未来の日本のどこかの都市は、 蛍光塗料のようなネオンが光り輝いているビルが並んでいるという、壮大な都市描写です。
一方、都市の中は煤けたコンクリートや錆びた鉄パイプだらけの建物という退廃的な光景です。
80年代に映画「ブレードランナー」が公開されてから、SF世界の描写はアジアの都市にある路地裏のような、退廃的な世界観を表すようになりました。
それは、発達しすぎた科学によって造られた社会が、壊れかかているのを暗示しているようでした。
巨大なビル群が並ぶ都市は偽りの姿で、ボロボロの建物こそこの社会の真実なのかもしれません。
物語そのものは、かなり難解なテーマを扱っているように思えるのですが、その本質は情報と偽りにまみれた世界で自分自身とは何かを探すストーリーのように感じました。