
ワンピース読者を震撼させたルルシア王国の消滅とコブラ王の殺害。
一見別々の出来事に見えるこの2つの事件には、イム様という共通の黒幕が存在していました。
なぜイム様はルルシア王国を跡形もなく消し去ったのか?そしてコブラ王を殺害した理由とは?
本記事では、2つの惨劇に隠された驚くべき共通点と、イム様の真の目的について徹底考察します。
イム様が引き起こした2つの惨劇
ルルシア王国が一瞬で消滅した衝撃
第1060話で描かれたルルシア王国の消滅は、多くの読者に衝撃を与えました。イム様が地図上のルルシア王国に×印を付けると、実際の王国上空に暗雲が立ち込め、次の瞬間には光の矢のようなものが降り注ぎました。
島全体が跡形もなく消え去るという、前代未聞の出来事です。世界政府加盟国であり、レヴェリーへの参加も認められていた正式な国家が、一瞬で歴史から消されてしまったのです。この攻撃により、国民も王族も全てが消滅し、後には巨大な海の穴だけが残されました。
コブラ王がマリージョアで殺害
もう一つの惨劇は、アラバスタ王国のコブラ王がマリージョアで殺害された事件です。第1084話から1086話にかけて、その真相が明かされました。
世界会議に参加していたコブラ王は、五老星との面会中にイム様と遭遇します。祖先のリリィ女王や「D」の一族について質問したコブラ王でしたが、その場でイム様と五老星によって命を狙われることになったのです。革命軍のサボが助けようとしましたが、コブラは自らを犠牲にしてサボを逃がすことを選びました。
報道では「サボがコブラ王を殺害した」と伝えられましたが、実際の犯人はイム様と五老星だったのです。
ルルシア王国消滅の真相
イム様が選んだ理由は「近い」
第1086話で衝撃的な事実が判明しました。五老星がルルシア王国を選んだ理由を尋ねると、イム様はただ一言「近い」とだけ答えたのです。
この「近い」という言葉は、聖地マリージョアからの距離を意味していると考えられます。つまり、一つの国が最高権力者の気まぐれとも言える理由で消滅させられたことになります。革命の兆候があったことも挙げられましたが、これはあくまで後付けの理由に過ぎませんでした。
五老星の会話からも「いい"見せしめ"にもなる」という発言がありましたが、本質的には場所が近かったことが決定的な要因だったようです。
マザーフレイムの恐るべき威力
ルルシア王国を消滅させた兵器の正体について、イム様が「マザーフレイム」の使用を希望していたことが明かされました。第1086話でイム様は五老星に対し、マザーフレイムを試したいと告げています。
マザーフレイムは天才科学者ベガパンクが開発したもので、「母の炎」という意味を持ちます。五老星の「アレが本物かどうかもわからない」「いずれその力を自在に使えたなら」という発言から、まだ完全にコントロールできる段階ではなかったことが示唆されています。
この兵器の威力は凄まじく、島一つを瞬時に消し去るほどの破壊力を持っています。消滅から6日後には世界中で地震が発生し、海面が1メートル上昇するという天変地異まで引き起こしました。
サボが目撃した破壊の瞬間
革命軍の参謀総長サボは、ルルシア王国で破壊の瞬間を目の当たりにしました。マリージョアから脱出後、ルルシア王国に潜伏していたサボは、革命軍に連絡を取っている最中に事件に遭遇したのです。
サボの証言によると、「生物や自然の何かじゃ説明がつかない真っ黒い何かが雲の上を飛んでいた」とのこと。上空に大きな影が現れた次の瞬間、王国全体が光に包まれて吹き飛んだといいます。
この攻撃はサボを狙ったものではなく、あくまでルルシア王国そのものが標的でした。五老星も「運のない男だ」と発言していることから、サボがその場にいたのは偶然だったようです。しかしサボは奇跡的に生き延び、この恐るべき光景を革命軍に伝えることができました。
コブラ王殺害事件の全貌
イム様の正体を知った代償
コブラ王の運命を決定づけたのは、世界には存在しないはずのイム様の姿を目撃してしまったことでした。五老星との面会中、誰も座らないはずの虚の玉座にイム様が座る姿を見てしまったのです。
虚の玉座は「世界の王などいない」ことを示す象徴として存在していました。しかし実際には、イム様という絶対的な支配者が存在していたのです。五老星ですらイム様の前で膝を折り、敬意を表していました。
この世界の秩序を根底から覆す真実を知ってしまったコブラ王に、もはや生き延びる道は残されていませんでした。イム様と五老星にとって、この秘密は何としても守らなければならないものだったのです。
Dの一族について質問した結末
コブラ王の質問は、祖先のリリィ女王と「D」の一族に関する核心的な内容でした。リリィ女王の消息と、世界中に散らばる「D」の名を持つ者たちについて知りたがっていたのです。
イム様は「Dは世界政府と敵対していた者たち」と明かし、さらに「リリィの失敗によりポーネグリフが世界中に散らばってしまった」と衝撃の事実を告げました。コブラが「ネフェルタリ・D・リリィ」というフルネームを口にした瞬間、イム様の目つきが変わり、五老星の攻撃が始まりました。
「D」の名こそが、世界政府が最も恐れ、隠蔽しようとしている秘密だったのです。
サボによる救出の試みと失敗
パンゲア城内に潜入していたサボは、五老星とコブラ王の会話を偶然聞いてしまいます。イム様と五老星がコブラを殺そうとした瞬間、サボは間一髪で乱入し、火拳で牽制しました。
コブラを背負って逃げるサボでしたが、五老星たちは異形の姿に変身して追跡してきます。この時の五老星は、日本の妖怪のような恐ろしい姿だったとサボは証言しています。コブラは一人なら逃げきれると判断し、サボを逃がすために自らを犠牲にする道を選びました。
コブラはルフィが恩人だと知ると、サボに「ルフィとビビに伝えてほしいことがある」と告げます。そして自らの命と引き換えに、サボを生き延びさせることに成功したのです。サボは命からがらマリージョアを脱出し、革命軍に真実を伝えることができました。
2つの事件に潜む驚愕の共通点
秘密保持のための容赦ない粛清
2つの事件に共通するのは、世界政府の秘密を知った者への容赦ない粛清という点です。コブラ王はイム様の存在と「D」の秘密を知ってしまい、サボもその場面を目撃してしまいました。
ルルシア王国にサボが潜伏していることを政府は把握していました。マリージョアでの真実を革命軍に伝えようとしていたその瞬間、王国ごと消滅させられたのです。サボがその場にいたのは偶然でしたが、結果的には口封じの意味も持つ攻撃となりました。
イム様にとって、自身の存在と「D」の一族の真実は何としても隠蔽しなければならない情報だったのです。そのためには、一国を丸ごと消滅させることすら躊躇しませんでした。
マリージョアとの位置関係
2つの事件には、聖地マリージョアからの距離という地理的な共通点も存在します。イム様がルルシア王国を選んだ理由として「近い」と答えたことが、この関連性を示しています。
コブラ王殺害はマリージョア内部で起きた事件であり、その後逃亡したサボが潜伏したルルシア王国もマリージョアに比較的近い場所でした。マザーフレイムの実験として使うには、近い場所の方が都合が良かったのかもしれません。
また、五老星の会話では「海よりも森などがある方が」という発言もあり、実験の成果を確認しやすい条件も考慮されていたようです。マリージョアを中心とした世界政府の支配圏において、イム様は自由に標的を選ぶことができる立場にあったのです。
イム様の独断的な判断パターン
2つの事件に共通するもう一つの要素は、イム様の圧倒的な独断性です。五老星ですら従うしかない絶対的な権力を持つイム様は、自身の判断だけで国を消滅させ、王を殺害する決断を下しました。
ルルシア王国の選択では、五老星が「ずいぶん人がいます」と提言しても「構わぬ」と一蹴しています。罪のない民衆の命も、加盟国の歴史も、イム様にとっては何の意味も持たないようです。
コブラ王殺害においても、五老星は当初コブラに危害を加えるつもりはなかったようですが、イム様の登場によって状況は一変しました。イム様という存在は、世界政府のシステムの中に組み込まれながらも、独自の価値基準で動く浮世離れした存在なのかもしれません。この独断的な判断パターンこそが、今後の世界にとって最大の脅威となりそうです。
世界への影響と隠蔽工作
イム様の能力と古代兵器ウラヌス
ルルシア王国を消滅させた力の正体について、古代兵器ウラヌスが使用された可能性が極めて高いとされています。サボが目撃した「真っ黒い何かが雲の上を飛んでいた」という証言は、空を司る古代兵器ウラヌスの特徴と一致します。
イム様自身が古代兵器であるという説もありましたが、実際にはイム様が古代兵器を操る立場にある可能性の方が高そうです。イム様がパンゲア城で地図に×印を付けただけで攻撃が実行されたことから、何らかの方法でウラヌスを遠隔操作できる能力を持っているのかもしれません。
また、イム様と五老星が異形に変身する様子も目撃されており、悪魔の実の能力者である可能性も示唆されています。その圧倒的な力は、革命軍のサボの攻撃をものともしませんでした。
マザーフレイムの正体と仕組み
マザーフレイムについて、古代兵器ウラヌスを起動させるための動力源ではないかという考察が有力です。「母の炎」という名前からも、何らかのエネルギー源を意味している可能性が高いでしょう。
五老星の「アレが本物かどうかもわからない」という発言は、マザーフレイムが古代兵器に匹敵する力を持つかどうかの検証が目的だったことを示しています。ルルシア王国での実験により、マザーフレイムが実際に機能することが証明されたわけです。
しかし「いずれその力を自在に使えたなら」という発言から、現時点ではまだ完全にコントロールできていないことも明らかです。世界中で起きた地震や海面上昇は、世界政府にとっても想定外の副作用だった可能性があります。
古代兵器ウラヌス説の信憑性
ルルシア王国消滅の跡地に形成された巨大な穴は、エニエス・ロビーの地形と酷似しているという重要な発見がありました。エニエス・ロビーは島の中央部を囲む海に巨大な穴が空いており、この穴は800年以上前から存在しています。
この類似性から、過去にも同様の攻撃が行われていた可能性が高いと考えられます。空白の100年の時代に、すでにウラヌスが使用されていたのかもしれません。
さらに、ルルシア消滅から6日後に起きた世界規模の天変地異も、古代兵器ウラヌスの威力を裏付けています。単なる兵器というより、世界の地形そのものを変えてしまうほどの力を持っているようです。ベガパンクの証言により、ウラヌス説の信憑性はさらに高まったと言えるでしょう。
エニエス・ロビーとの類似性
エニエス・ロビーとルルシア王国跡地の地形の類似性は、過去と現在をつなぐ重要な手がかりとなっています。両方とも海に巨大な穴が開き、海水が流れ込む「海の滝」が形成されているのです。
エニエス・ロビーは「昼も夜も存在しない島」として知られており、不思議な現象が起きています。もしルルシア王国跡地でも同様の現象が起きるとすれば、これは偶然ではないことになります。
800年以上前に形成されたエニエス・ロビーの穴と、今回のルルシア王国消滅による穴が同じメカニズムで作られたとすれば、古代兵器ウラヌスは空白の100年の時代から存在し、世界政府によって使用されてきた可能性が高いでしょう。この発見は、ワンピース世界の歴史を解明する上で極めて重要な意味を持っています。
2つの事件が示す世界の未来
Dの一族が狙われる理由
イム様がコブラ王を殺害した決定的な理由は、「D」の一族の秘密に迫りすぎたからでした。イム様は「Dは世界政府と敵対していた者たち」と明かしましたが、これは空白の100年に関わる核心的な真実です。
コブラが「ネフェルタリ・D・リリィ」という名前を口にした瞬間、イム様の態度が一変しました。「D」の名を持つ者たちは、世界政府にとって最も危険な存在として認識されているのです。
サボも「数奇な運命を背負った男」「これほどDに囲まれた人生を送る者もいまい」と五老星に評されています。ルフィの兄であるサボが、イム様の存在を知り、さらにコブラから「D」の秘密を聞いてしまったことは、革命軍にとって重要な情報となりました。今後、「D」の一族とイム様の対立は、物語の中心的なテーマとなっていくでしょう。
革命軍の今後の動き
サボがマリージョアで目撃した真実は、革命軍の戦略に大きな転機をもたらすはずです。イム様という絶対的な支配者の存在、五老星の異形化、そして古代兵器ウラヌスの恐るべき力を知った革命軍は、新たな方針を立てる必要に迫られています。
ドラゴンを始めとする革命軍の幹部たちは、サボの証言を基に世界政府との対立をさらに激化させることが予想されます。イム様の存在を世界に暴露できれば、世界政府の信頼を失墜させる大きな一手となるでしょう。
また、コブラ王から託された「ネフェルタリ家もDである」というメッセージは、ルフィとビビに伝えられなければなりません。革命軍と麦わらの一味、そして「D」の一族を持つ者たちが協力する展開も考えられます。世界政府に対抗するための大きな同盟が形成される日も近いかもしれません。
最終章に向けた重要な伏線
2つの事件は、ワンピース最終章に向けた重要な伏線として機能しています。イム様という最大の敵の存在、古代兵器ウラヌスの脅威、そして「D」の一族の秘密が明らかになったことで、物語は新たな段階へと進みました。
ルフィたちがラフテルにたどり着き、ワンピースを手にしたとき、世界政府との最終決戦は避けられないでしょう。イム様とウラヌスという二重の脅威に、どう立ち向かっていくのかが最大の焦点となります。
また、エニエス・ロビーとルルシア王国の地形の類似性は、空白の100年の謎を解く鍵となるかもしれません。過去と現在が繋がり、「D」の一族の本当の使命が明らかになったとき、ワンピース世界の真実が全て明らかになるのでしょう。イム様による2つの惨劇は、まさに物語のクライマックスへの序章だったのです。