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95巻957話でセンゴクが語ったゴッドバレー事件の真相。しかし、後に明かされた「先住民一掃大会」や神の騎士団の存在を考えると、その説明には大きな疑問が残ります。なぜガーリング聖の名前は出てこないのか、島が消えた本当の理由とは何なのか――世界政府が隠し続ける歴史の闇に迫ります。
センゴクが語った内容の不自然さ
ゴッドバレー事件について初めて明かされたのは、95巻957話でのセンゴクの説明でした。ガープとロジャーが手を組んでロックス海賊団を討ち取ったという英雄的な物語として語られましたが、後の章で明かされた真実と照らし合わせると、その説明には大きな「穴」があることがわかります。
957話で明かされた情報とその限界
センゴクが語ったのは「ガープとロジャーが手を組んでロックス海賊団を討ち取った」という事実のみでした。ロックス海賊団のメンバーとして白ひげ、ビッグマム、カイドウ、金獅子のシキなどの名前が明かされ、彼らを倒したガープの武勇が強調されています。
しかし、この説明には重要な情報が欠けていました。なぜロックス海賊団がゴッドバレーに集結したのか、そこで何が行われていたのか、誰を守るために戦ったのか――これらの核心的な部分には一切触れられていません。
特に気になるのは、センゴク自身が「世界政府が隠したかった島」と表現していることです。単なる海賊討伐であれば、なぜ島ごと消し去る必要があったのでしょうか。
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ガーリング聖への言及がない理由
後の1086話で明かされたように、ゴッドバレーにはフィガーランド・ガーリング聖という天竜人が深く関わっていました。彼は「かつてゴッド・バレーという土地で活躍した"王者"」と紹介されており、神の騎士団を率いて戦っていたようです。
しかし、957話でのセンゴクの説明には、ガーリング聖の名前も神の騎士団の存在も一切出てきません。これは極めて不自然です。もしガーリング聖が「王者」と呼ばれるほどの活躍をしたのなら、なぜその功績が語られないのでしょうか。
考えられる理由は、天竜人の関与を表に出したくなかったのかもしれません。センゴクは海軍の立場から、ガープとロジャーという「英雄」の物語として事件を語る必要があったのでしょう。
隠蔽された歴史の核心
エッグヘッド編で明かされた真実は衝撃的でした。ゴッドバレーでは「先住民一掃大会」という天竜人による人間狩りが行われていたのです。天竜人たちがゲーム感覚で先住民や奴隷を虐殺していたという残虐な事実が、センゴクの説明からは完全に抜け落ちていました。
ガープが語りたがらない理由も、ここにあるのかもしれません。海兵として天竜人を守る立場にありながら、その天竜人が民間人を虐殺していたという事実は、彼の正義観と真っ向から対立するものだったはずです。
先住民一掃大会の残虐性
1095話で明かされた「先住民一掃大会」の実態は、想像を絶する残虐さでした。西の海の非加盟国ゴッドバレーを舞台に、天竜人たちが3年に一度開催するこの「イベント」は、人間の尊厳を完全に無視したものだったのです。
ハンター(天竜人)とラビット(先住民や奴隷)という呼び方からも、彼らが人間を獲物としか見ていなかったことがわかります。景品として悪魔の実や武器が用意され、最も多くの「ラビット」を狩った者が「王者」の称号を得るという狂気のルールでした。
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神の騎士団の活躍が伏せられた意図
ガーリング聖は「神の騎士団出るぞ!!」と宣言し、ロックス海賊団やロジャー海賊団と戦ったようです。神の騎士団は天竜人で構成される精鋭部隊であり、その戦闘能力は非常に高かったと考えられます。
しかし、この神の騎士団の活躍は完全に歴史から消されました。おそらく天竜人が直接戦闘に参加していた事実を隠す必要があったのでしょう。なぜなら、それは「先住民一掃大会」という残虐行為の現場に彼らがいたことの証明になってしまうからです。
世界政府としては、海軍の英雄ガープが海賊を討ち取ったという美談にすることで、天竜人の関与を完全に闇に葬ったのかもしれません。
センゴクの立場と情報源
センゴクが語った内容は、彼自身が現場で見たものではない可能性が高いです。当時のセンゴクの階級を考えると、ゴッドバレーに派遣されていなかった可能性もあります。
もし派遣されていたとしても、天竜人の蛮行を知りながらそれを若い海兵たちに語らないという選択をしたのかもしれません。海軍という組織の中で生きる以上、世界政府に都合の悪い真実は語れないという立場だったのでしょう。
ゴッドバレーに居合わせていない可能性
センゴクの説明が妙に抽象的で、具体的な戦闘の様子や現場の描写がないことから、彼はゴッドバレーに実際には居合わせていなかったのかもしれません。
もしそうであれば、彼の語った内容は後から聞いた話、つまり「二次情報」ということになります。そして、その情報源は世界政府が公式に認めた「美化された歴史」だった可能性が高いのです。
実際に現場にいたガープが語りたがらないのに対し、センゴクは淡々と説明できるのは、彼が真実の一部しか知らないからかもしれません。
ガープから聞いた二次情報説
センゴクとガープは長年の盟友関係にあります。もしセンゴクがゴッドバレーに居合わせていなかったとしても、親友のガープから事件の概要を聞いていた可能性は十分にあるでしょう。
しかし、ガープ自身が「語りたがらない」事件について、どこまで正確に話したのかは疑問です。天竜人の蛮行を目の当たりにし、それでも海兵として戦わなければならなかった苦悩を、ガープが全て話せたとは思えません。
世界政府の歴史改ざん手法
ゴッドバレー事件の隠蔽方法は、世界政府の歴史改ざんの典型的なパターンを示しています。都合の悪い事実は完全に消去し、都合の良い部分だけを残して「公式の歴史」として流布するのです。
「島ごと消えた」という事実も、単なる自然現象ではなく、徹底的な証拠隠滅の結果だったのでしょう。先住民一掃大会の痕跡、虐殺された人々の遺体、天竜人の関与を示すあらゆる証拠が、島と共に消されました。
空白の100年と同じ手法です。世界政府にとって都合の悪い歴史は、物理的に消し去ることで「なかったこと」にされるのです。
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海軍の功績に書き換えられた真相
本来であれば、ガーリング聖と神の騎士団の功績も大きかったはずです。しかし、天竜人の関与を隠すために、すべてがガープの手柄として書き換えられたのでしょう。
ガープは「海軍の英雄」として祭り上げられましたが、本人にとっては不本意だったに違いありません。天竜人の蛮行を止められなかった無力感、それでも海兵として戦わなければならなかった矛盾――これらがガープを沈黙させているのかもしれません。
島ごと消された徹底的な隠蔽工作
ゴッドバレー島は現在、地図から完全に消えています。島が物理的に消滅したという事実は、単なる隠蔽ではなく、証拠の完全抹消を意味します。
最近明かされたルルシア王国の消滅と同じように、古代兵器ウラヌスやマザーフレイムが使われた可能性も考えられます。イムにとって、ゴッドバレーは何としても消さなければならない場所だったのでしょう。
その理由は、デービー一族との因縁や、島に隠されていた重要な秘密があったからかもしれません。先住民一掃大会はその隠蔽工作の一環だった可能性すらあります。
ガーリング聖の真の役割
1086話で「かつてゴッド・バレーという土地で活躍した"王者"」と紹介されたガーリング聖。この「王者」という称号には、複数の意味が込められているようです。
最も有力なのは、先住民一掃大会の優勝者という意味です。最も多くの「ラビット」を狩った者に与えられる称号だとすれば、ガーリング聖がいかに残虐な行為を行ったかがわかります。
ゴッドバレーの王者の意味
しかし「王者」には別の意味もあるかもしれません。ロックス海賊団やロジャー海賊団と戦い、生き残った強者という意味での「王者」です。
ガーリング聖は神の騎士団を率いて、当時最強とされた海賊たちと戦いました。白ひげ、ビッグマム、カイドウ、シキといった怪物たちを相手に戦い抜いた実力は、まさに「王者」の名にふさわしいものだったでしょう。
また、フィガーランド家という特別な血筋も関係しているかもしれません。五老星が特別視するほどの家系であり、ゴッドバレーという「神の谷」を治める王族だった可能性もあります。
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天竜人による情報統制の実態
ガーリング聖の活躍が歴史から消されたことは、天竜人による情報統制の実態を如実に示しています。彼らにとって都合の悪い情報は、どんなに重要でも闇に葬られるのです。
神の騎士団という存在自体が長らく謎に包まれていたのも、同じ理由でしょう。天竜人が直接戦闘に参加する組織があること自体が、彼らの「神」としてのイメージを損なうからです。
さらに、ガーリング聖が現在は五老星の一人となっていることを考えると、彼の過去の活躍を表に出すことは、五老星の正体や世界政府の闇を暴くことにつながりかねません。だからこそ、センゴクの説明からは完全に省かれたのでしょう。







