目次
エルバフ編で衝撃的な形で描かれたハラルド王の最期。
その背後には「深海契約」と呼ばれる恐ろしい契約が隠されていたようです。
王がイムと交わした契約の全貌と、息子ロキに死を頼んだ真意について考察していきます。
ハラルド王「深海契約」の全容
深海契約とは何か?不死身の力の代償
深海契約とは、イムが特定の王族に与える不死身に近い力との引き換えに、契約者の自由意志を奪う恐ろしい契約のようです。この契約により、ハラルド王は通常では考えられないほどの生命力を得ていたと思われます。
しかし、その代償はあまりにも重いものでした。契約者はイムの意のままに操られる人形となり、自らの意志で行動することができなくなります。エルバフという巨人族の誇りを守ってきた王が、なぜこのような契約を結んだのでしょうか。
おそらく当初は国を守るための力を求めたのかもしれません。ですが、契約の真の恐ろしさに気づいた時には、すでに手遅れだったのでしょう。
イムとの契約で得た能力と制約
深海契約によってハラルド王が得た能力は、驚異的な治癒力と長寿だったと考えられます。巨人族はもともと長命ですが、契約によってさらに寿命が延びていた可能性があります。致命傷を負っても回復する力を持っていたのかもしれません。
一方で制約は過酷なものでした。イムの命令には絶対服従しなければならず、たとえ自分の国を滅ぼすような命令であっても逆らうことができません。さらに契約内容を他者に明かすことも禁じられていたと思われます。
この二重の呪縛が、ハラルド王を長年にわたって苦しめ続けていたのでしょう。エルバフの王としての責務と、イムの奴隷としての宿命。その狭間で葛藤し続けた王の苦悩は計り知れません。
深海契約の奴隷となった経緯
ハラルド王が契約を結んだ時期は、おそらく数十年前のエルバフが危機に瀕していた頃ではないでしょうか。世界政府からの圧力や、他国からの脅威に対抗するため、王は力を求めたのかもしれません。
イムは巧妙にその弱みにつけ込み、「国を守る力を与える」という甘い言葉で契約を持ちかけたと考えられます。当時のハラルド王は、エルバフを守りたい一心で契約書にサインしたのでしょう。
しかし契約の真の目的は、エルバフという巨人族最大の国を内部から支配することでした。イムは長期的な視点で、エルバフを自らの支配下に置く計画を進めていたのです。ハラルド王はその駒として利用されていたに過ぎません。
神の騎士団入りの裏にあった罠
シャンクス失踪で巡ってきた「神の騎士団」の椅子
ハラルド王に神の騎士団への招待が届いたのは、シャンクスが神の騎士団から姿を消した直後だったようです。この偶然は決して偶然ではなく、イムによって綿密に計算されていたと考えられます。
神の騎士団は世界貴族の中でも特別な存在で、通常は空席が生じることはありません。しかしシャンクスの離脱によって生まれた空白を、イムは深海契約を結んでいたハラルド王で埋めようとしたのでしょう。
この招待は名誉に見えて、実は完全支配のための最終段階でした。神の騎士団に入れば、ハラルド王はマリージョアに常駐することになり、イムの監視下に置かれます。エルバフから引き離され、操り人形として使われる運命が待っていたのです。
ロキに死を頼んだ父の真実
自らの運命を悟ったハラルド王は、息子ロキに自分を殺すよう頼んだと思われます。これは単なる死への願望ではなく、エルバフを守るための究極の選択でした。
深海契約の縛りによって、王は自ら命を絶つこともできません。そして神の騎士団に入れば、イムの命令でエルバフそのものを破壊させられる可能性もあったでしょう。そうなる前に、自分の命を終わらせる必要があったのです。
ロキにその役目を託したのは、王子として次期王の資格を持つ者だからこそ。父を殺すという重い罪を背負わせることで、ロキには真実を知ってほしかったのかもしれません。たとえ世界から「父殺し」として糾弾されても、エルバフを守る道を選んだのです。
操られる肉体を押し留めた最後の抵抗
ハラルド王の最期の場面では、わずかに残った自我で契約の力に抵抗していた様子がうかがえます。イムから神の騎士団への出頭命令が下っていたにもかかわらず、王はエルバフに留まり続けていました。
これは深海契約の絶対服従の力に対する、必死の抵抗だったのでしょう。おそらく王の精神力は並外れて強く、完全に支配される直前まで自我を保っていたと考えられます。
しかし時間の問題でした。契約の力は徐々に王の意志を蝕み、やがて完全な傀儡となってしまう。その前に、王は息子たちを呼び寄せ、真実を伝えようとしたのです。ロキに自らの死を頼むことで、契約の鎖から逃れる最後のチャンスを掴もうとしました。
息子たちを招集した本当の理由
ハラルドの死が意味するもの
ハラルド王の死は、単なる一国の王の崩御ではありません。これはイムの支配計画の破綻を意味する重大な出来事だったのです。深海契約によって操られる王を失ったことで、イムはエルバフへの直接的な影響力を失いました。
さらに王の死によって、神の騎士団の新たな空席が生まれたことになります。この椅子を誰が埋めるのか、あるいは空席のままにするのか。イムの次の一手が注目されますね。
エルバフにとっては、イムの支配から解放される契機となりました。ハラルド王は自らの命と引き換えに、国の独立を守り抜いたのです。しかしその代償として、息子ロキは「父殺し」という汚名を着せられることになりました。
エルバフを守るための究極の選択
ハラルド王が息子たちを招集したのは、エルバフの未来を託すためでした。特にロキには、父を殺すという重い使命を与えることで、真実を知る者として国を守る覚悟を求めたのでしょう。
王は深海契約について息子たちに伝えようとしたのかもしれません。しかし契約の制約により、直接的に語ることはできなかったはず。だからこそ行動で示すしかなかったのです。自らの死を通じて、イムという脅威の存在を息子たちに気づかせようとしました。
この選択は王として、そして父親としての最後の愛情表現だったのではないでしょうか。エルバフという国の未来と、息子たちの未来。その両方を守るために、自分の命を差し出す道を選んだのです。
ロキが背負った濡れ衣の真相
ロキは「父殺し」として世界に知られることになりましたが、これは真実を隠すための必要な犠牲だったようです。もし深海契約の存在が明るみに出れば、イムはエルバフそのものを滅ぼしかねません。
ハラルド王はロキに、汚名を着ることで国を守る役割を託したのでしょう。父殺しという最大のタブーを犯した者として、ロキはエルバフから追放されることになりました。しかしこれも計算のうちだったのかもしれません。
追放されたロキが外の世界で何を見て、何を学ぶのか。そして再びエルバフに戻る日が来たとき、彼は父が守ろうとしたものの真価を理解するでしょう。濡れ衣を着せられた王子の物語は、やがて世界の真実を暴く鍵となるかもしれません。
