ガープとロジャーの合体攻撃でジーベック撃破

そして、1165話のクライマックス。ロジャーとガープの史上最強の合体攻撃により、ついにロックス・D・ジーベックが倒される瞬間が描かれました。

この戦いの決着で最も衝撃的だったのは、ジーベックが倒された後の描写です。ジーベックの体から「暗黒で邪悪なエネルギー」が流れ出したのです。

この「邪悪なエネルギー」の正体について、3つの重要な仮説を提示します。

仮説①:悪魔の実の本質的な力
ジーベックの体から流れ出た黒いエネルギーは、悪魔の実に宿る「悪魔」そのものの可能性があります。ベガパンクの研究により、悪魔の実は人々の「進化の可能性」が実体化したものだと説明されましたが、その裏には「悪魔」と呼ばれる負の側面があるのかもしれません。ジーベックはその負の側面を極限まで引き出していた可能性があり、死によってその封印が解かれたのだとすれば、この黒いエネルギーは悪魔の実システムの核心に関わる重要な要素と言えます。

仮説②:イム様と同じ種類の存在
1165話でイム様がゴッドバレー破壊を命令していることから、イム様とジーベックには何らかの繋がりがあると考えられます。もしかすると、2人は同じ「不死の存在」あるいは「悪魔に近い存在」なのかもしれません。イム様の正体が「悪魔」や「神」に関係する存在であるならば、ジーベックもまた似たような性質を持っていた可能性があります。体から流れ出た黒いエネルギーは、その証拠なのかもしれません。

仮説③:Dの一族の持つ「神の天敵」の力の闇の側面
ジーベックもまた「D」の名を持つ一族です。Dの一族は「神の天敵」と呼ばれていますが、その力には光と闇の両面があると考えられます。ロジャーやルフィが「光」の側面を体現しているとすれば、ジーベックは「闇」の側面を極限まで高めた存在だった可能性があります。黒いエネルギーは、Dの力の負の側面が具現化したものなのかもしれません。

【重要考察】この「黒いエネルギー」は、黒ひげが持つ「ヤミヤミの実」の力と深く関係している可能性があります。黒ひげもまた「D」の一族であり、闇の力を操ります。ジーベックと黒ひげの間には、まだ明かされていない重要な繋がりがあるかもしれません。

この戦いでジーベックは完全に倒されましたが、その「意志」は後世に受け継がれていきます。黒ひげが「ロックス」の名を復活させようとしているのも、ジーベックの意志を継ぐ者としての行動と言えるでしょう。

ゴッドバレー事件後の勢力図変化

1165話で描かれたゴッドバレー事件の決着により、海の勢力図は劇的に変化することになります。この変化を理解することで、現在の四皇体制がどのように確立されたかが見えてきます。

ロックス海賊団解散後の各メンバーの動向

ロックス海賊団の解散後、各メンバーはそれぞれの道を歩むことになります。その後の動向を整理してみましょう。

エドワード・ニューゲート(白ひげ)は、ポログラムとの出会いをきっかけに、「家族」を重視する独自の海賊団を結成します。ロックス海賊団が「力と野心」で結ばれた集団だったのに対し、白ひげ海賊団は「絆と家族愛」で結ばれた組織となります。この対比は、白ひげがロックス海賊団での経験から何を学び、何を反面教師としたかを示しています。マルコ、ジョズ、ビスタといった優秀な仲間を集め、最終的には「世界最強の男」として君臨することになります。

シャーロット・リンリン(ビッグ・マム)は、ゴッドバレー事件の後、故郷であるエルバフへの想いを抱きながらも、独自の「万国(トットランド)」建国を目指します。彼女の場合、ジーベックから学んだのは「力による支配」と「情報収集の重要性」だったと考えられます。結婚を政略的に利用し、世界中に情報網を張り巡らせる手法は、ロックス海賊団時代の経験が活かされています。

カイドウは、最も複雑な道を歩むことになります。ジーベックという恩人を失った喪失感と、ゴッドバレーで目撃した「最強の戦い」への憧れが、彼の「最強への執着」を生み出したと推測されます。「この世における最強生物」を自称するようになるのも、ジーベックを超える存在になりたいという想いの表れかもしれません。

金獅子のシキは、今回の話で宣言した通り、独自の海賊団「飛ぶ海賊団」を結成します。彼の特徴は、ロジャーへの執着です。ゴッドバレーでロジャーの強さを目の当たりにしたシキは、ロジャーと手を組んで世界を支配しようと考えるようになります(0話で描写)。

元メンバーその後の組織理念ロックスからの影響
白ひげ白ひげ海賊団家族の絆反面教師として
ビッグ・マムビッグ・マム海賊団血縁と支配力の継承
カイドウ百獣海賊団最強への渇望師の超越
シキ飛ぶ海賊団世界征服野心の継承

ロジャーとガープの関係性の変化

ゴッドバレー事件での共闘を経て、ロジャーとガープの関係は「宿敵」から「奇妙な友情」へと変化していきます。

この2人の関係性が示す重要なテーマは3つあります。

第一に、「立場を超えた信頼関係」の可能性です。海賊と海軍という本来は敵対する立場にありながら、2人は互いを認め合い、時には協力することもありました。この関係は、「正義」や「悪」といった単純な二元論では語れない、ワンピース世界の複雑さを象徴しています。

第二に、この信頼関係が後の重要な出来事に繋がります。ロジャーは処刑される前、自分の息子エースをガープに託すことになります(550話)。命よりも大切な息子を預けられるほどの信頼関係が、ゴッドバレー事件での共闘によって築かれたのです。

第三に、2人の関係はルフィにも影響を与えています。ガープの孫であるルフィが「海賊王」を目指すのは、ある意味でロジャーとガープの因縁を新たな形で受け継いでいるとも言えます。ガープがルフィを海軍にしたかったのに海賊になってしまったのは、ロジャーとの因縁が形を変えて現れたのかもしれません。

あにま
ガープさんの複雑な想いが伝わってくるね

世界政府による歴史改ざんの本格化

イム様によるゴッドバレー破壊命令は、世界政府の「不都合な真実の抹消」という方針が本格化した瞬間でもあります。

この歴史改ざんのパターンは、後の出来事にも繰り返し現れます。

オハラのバスターコール(395話)では、古代兵器や空白の100年の研究をしていた考古学者たちごと、島が焼き払われました。これはゴッドバレー事件での手法を踏襲したものと言えます。知識を持つ者を全て消し去り、証拠となる島そのものを破壊する——この徹底的な手法は、ゴッドバレーで確立されたのです。

ルルシア王国の消滅(1060話)も同様です。革命軍の拠点となっていたルルシア王国は、イム様の命令により、古代兵器ウラヌスと思われる力で完全に消滅させられました。この手法は、ゴッドバレー破壊の技術が現代まで受け継がれている証拠です。

これらの事件に共通するのは、「存在そのものを歴史から消す」という方針です。世界政府は単に敵を倒すだけでなく、その痕跡すら残さない徹底的な消去を行います。これは、真実が後世に伝わることを何よりも恐れている証拠と言えるでしょう。

ジーベックの正体と「黒いエネルギー」の謎

1165話で最も衝撃的だったのは、ジーベックの死後に体から流れ出た「暗黒で邪悪なエネルギー」の描写です。この正体を解明することは、ワンピース世界の根本的な謎に迫ることになります。

ジーベックとイム様の関係性

ジーベックの体から流れ出た黒いエネルギーとイム様には、何らかの深い繋がりがあると考えられます。

その理由を3つの観点から分析してみましょう。

第一に、両者とも「神」あるいは「悪魔」に関連する存在である可能性です。イム様の名前は「海」を意味する「Umi(海)」を逆さまにしたものとも考えられ、何らかの神格的存在を示唆しています。一方、ジーベックの「D」の名は「神の天敵」を意味します。2人は対極にありながら、どちらも人間を超えた存在である点で共通しているのです。

第二に、不死性や異常な長寿の可能性です。イム様は空白の100年から存在している可能性が高く、800年以上生きていると推測されます(1085話)。ジーベックの黒いエネルギーも、通常の人間が持つはずのないものです。2人とも何らかの方法で不老不死、あるいは極端な長寿を得ている可能性があります。

第三に、古代兵器や悪魔の実との関係です。ベガパンクは「悪魔の実は誰かの望みが実現したもの」と説明しました(1069話)。もしジーベックやイム様が悪魔の実システムの創造者や管理者であるならば、体から黒いエネルギーが流れ出ることも説明がつきます。

「D」の一族の持つ二面性

ジーベックはロックス・D・ジーベックという名前から、「D」の一族の一員であることが分かります。しかし、同じDの一族でありながら、ルフィやロジャーとは全く異なる性質を持っています。

この違いから見えてくるのは、Dの一族には「光」と「闇」の二面性があるという可能性です。

ルフィ、ロジャー、エース、サボなどは、Dの「光」の側面を体現しています。彼らは自由を愛し、仲間を大切にし、弱者を守ります。太陽の神ニカの力を覚醒させたルフィは、まさにDの光の極致と言えるでしょう。

一方、ジーベックは「闇」の側面を体現していました。世界征服を目論み、力による支配を信奉し、仲間すら道具として扱う冷酷さを持っていました。体から流れ出た黒いエネルギーは、Dの闇の力が具現化したものかもしれません。

そして、黒ひげ(マーシャル・D・ティーチ)もまた、Dの闇の側面を継承している可能性があります。彼の持つ「ヤミヤミの実」の力は、文字通り「闇」を操る能力です。黒ひげがロックスの名を復活させようとしているのも(957話)、ジーベックの闇の意志を受け継いでいるからかもしれません。

【重要な伏線】センゴクは「D」について「Dの一族は何か事を起こす」と発言しています(576話)。これはDの一族が持つ「世界を変える力」を指していますが、その変化が「良い方向」か「悪い方向」かは個人によって異なることを示唆しています。ジーベックは「悪い方向」に世界を変えようとしたDだったのです。
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