
目次
森鴎外は、ポートマフィアのボスや闇医者等、いくつもの顔を持った男です。
冷徹なマフィアの首領である一方、いつも一緒にいる幼女「エリス」を溺愛しているという、意外な一面を持ったキャラクターでもあります。
今回は、そんな森鴎外について解説しましょう。
【文豪ストレイドッグス】森鴎外とは?
森鴎外のプロフィール

- 年齢:40歳
- 誕生日:2月17日
- 身長::175cm
- 体重:60㎏
- 血液型:O型
- 好きなもの:理論、饅頭茶漬け、幼女
- 嫌いなもの:汚いもの、なまもの、サバの味噌煮
ゆったりとした黒いコートの上からマフラーを襟から垂らしており、いかにもマフィアのボスといった衣装を身にまとっていますが、外で出かける際は、白衣を身にまとい、町医者に成り済ましています。
エリスという女の子といつも一緒にいますが、娘ではないらしく、以前、福沢から詳細を聞かれた際は「妻」と言い切っていました。
エリスは鴎外のことをなぜか「リンタロウ」と呼んでいるので、鴎外は偽名である可能性もあります。
尚、好きなものの項目に書かれている「饅頭茶漬け」に関しては、「鴎外の好物「饅頭茶漬け」とは?」の項を参照してください。
森鴎外の性格
森鴎外は理路整然とした思考をしており、物事に対する最適解を求めています。そのため、常に戦戯(ゲーム)理論を元に判断して行動しています。
基本は冷徹な人間ですが、利害関係が一致すれば、探偵社と組むことも辞さないため、単なる理論派というだけでなく、柔軟な判断もできる人物です。
また、好きなものに「幼女」とありますが……あまり深く考えないようにしましょう。
演じている声優は?
https://twitter.com/animatetimes/status/1567666563834155008
アニメで森鴎外を演じているのは、宮本充です。
ベテランの声優で、洋画の吹き替えを多くこなし、キアヌ・リーブスやブラッド・ピットなどを担当しています。
また、役者としても活躍しており、舞台劇からテレビドラマなどにも出演しています。
アニメの声優としては、血界戦線のスティーブン・A・スターフェイズ役や、こち亀の中川圭一役などが有名です。
【文豪ストレイドッグス】森鴎外の登場回
初登場回
森鴎外は、原作第四巻に収録されている第十四話で初登場します。
部下の芥川龍之介が中島敦の誘拐に失敗したうえ、敗北してしまったことから、樋口一葉に詰問している場面が鴎外の初登場です。
この時点では素顔が出ておらず、いつも一緒にいるエリスだけしか姿を見せていないのですが、とてつもない威圧感と存在感を出しています。
また、芥川の容体に関するカルテを正確に読み上げている点から、医療に詳しい人物であることが示唆されています。
最初の活躍

鴎外が最初に顔を出したのは、四巻に収録されている十六話です。
組合の刺客であったモンゴメリーの異能「深淵の赤毛のアン」の異空間に閉じ込められたことで、彼女と戦う敦に助言を与えて加勢をしました(森鴎外の名言の項を参照)。
この時の鴎外は、町医者に扮しており、敦にマフィアのボスとは名乗らなかったのですが、戦いが終わった後に駆け付けてきた泉鏡花によって、彼が鴎外だとわかったのです。
その後、組合、マフィア、探偵社の間で三社戦争が勃発することになると、戦争の最中、敦はポートマフィアと同盟を結ぶアイディアを思いつきます。
敦がこのアイディアを思いつくことができたのは、鴎外の協力を得てモンゴメリーに勝利したことがきっかけになっています。
共食い

ドストエフスキーの仕掛けた策略「共食い」で、鴎外は、福沢社長とともにウイルスの異能者によって病床についてしまいます。
社長か自身のどちらかが死なない限りウイルスが解除されないために、探偵社とマフィアの間で戦争がはじまってしまいます。
鴎外と福沢は、お互いの部下たちを守るため、かつて十二年前に互いに共闘した場所で決闘することになりました。
このエピソードで、実は鴎外と福沢は、かつては同じ理想を志した仲であったことがわかります。
【文豪ストレイドッグス】首領としての森鴎外
どうやってポートマフィアのボスになった?

鴎外は元々闇医者で、怪我をしたギャングたちを匿うことで、多くの暗黒街の情報を手に入れて、情報屋としても活動していました。
その後、マフィアに入り、ボス(先代)のお抱えの医師として働くことになったのですが、当時のボスは情け容赦がないうえに、部下がどれほど犠牲を払っても異に返さない人物であったため、広津柳浪や尾崎紅葉など多くの部下から忌み嫌われていました。
見かねた鴎外は、ボスの寝首をかいて、暗殺してしまいます。その際、そばにいた太宰に自分がボスの後継者であることの証人にさせたのです。
徹底した理論派のボス

前述したように、鴎外は徹底した理論派で、ゲーム理論を好んでよく引用しています。
敦がモンゴメリーと戦った際にも、彼にゲーム理論を引用した助言で、勝利に導いたのです。
ゲーム理論とは、戦争から社会、経済、ビジネスに至るまで、複数の主体が関わる戦略的状況を研究する学問で、本来は数学的モデルなどを使って考察するものです。
鴎外は元々軍医(衛生兵)であったということもあるのか、特に戦争で使われる戦略理論をよく引用しています。
作中で鴎外は、T・シェリング、J・ナッシュ、H・キッシンジャーなどの数理学者や政治学者の名前を出しており、彼らの著作を読んでいることがわかります。
また、太宰にもゲーム理論を叩きこんだようです。
実は強い!意外な戦闘技術

単なる理論派、頭脳派というだけでなく、鴎外は高い戦闘力を秘めています。
異能であるヰタ・セクスアリス(異能「ヰタ・セクスアリス」とは?を参照)は、かなり強力な異能生物を召喚する能力で、すぐれた武術家である福沢と互角に渡り合えるだけの力を持った異能生物を呼び寄せることができます。
また、当の本人もかなり優れた戦闘力を持っており、ブラックジャックのようにメスを投げつけて攻撃したり、敵の懐に潜り込んで首を切りつけるなど、暗殺者としての技を身に着けています。
前述したように、鴎外は先代のボスを殺しているので、暗殺者としての側面も持っているようです。
【文豪ストレイドッグス】森鴎外の関係者
太宰治

太宰はポートマフィア時代、鴎外の直属の部下でした。
鴎外から直接コートを貰い、先代ボスの暗殺に立ち会うなど、少年時代から太宰は鴎外に目をかけられていました。
実際、太宰は将来的に鴎外の片腕となる予定でした。
しかし、鴎外は、異能開業許可証を得るために太宰の親友を犠牲にしてしまったので、太宰はマフィアから離れることになります。
ちなみに、太宰は、鴎外から貰ったコートは焼いたと言っていますが、実は芥川にあげています。
福沢諭吉

福沢諭吉と鴎外が出会ったのは、十二年前のことでした。
福沢諭吉は、元々、政府の暗殺剣士であり、当時は、乱歩と一緒に探偵社を創設する準備中でした。
そんな時、夏目漱石から一人の男を護衛してほしいと頼まれました。それが、当時闇医者をしていた鴎外であったのです。
福沢は鴎外のことを信用できない人物と思いつつも、時に対立し、時に共闘することで、奇妙な戦友ともいうべき間柄になったのです。
しかし、元々、考え方が違ううえに、戦時中、鴎外が与謝野晶子の異能を使って、冷酷な計画を立てていたことを知ると、二人は衝突して、現在のようにいがみ合うような間柄となってしまったのです。
夏目漱石

夏目漱石は、福沢が探偵社設立の際、後ろ盾となってくれた人物で、伝説の異能力者でもあります。
現段階でも、彼の正体も異能も判明しておらず、すべてが謎に包まれています。
彼は、福沢だけでなく鴎外とも知り合いであり、二人を三刻構想の計画に招いたのです。
それは、治安が乱れつつあるヨコハマを守るための計画で、昼は異能特務課が監視し、夜はポートマフィアが番人となり、そして夕刻を探偵社に守らせる計画でした。
つまり、夏目は、鴎外を夜の番人、福沢を夕刻の守護者としようと思っていたのです。
【文豪ストレイドッグス】森鴎外の名言
ゲーム理論では、危害を加えてきた敵には徹底反撃を行うのが、理論最適解とされている

街の中にいた敦と谷崎は、突如、周囲の人とともに、亜空間に入り込んでしまいます。
それはギルドの刺客であったモンゴメリーの仕業で、彼女は敦を捕らえるために、自身の異能「深淵の赤毛のアン」の世界に引き込んだのでした。
谷崎があっという間にアンに捕らえられてしまったのを見て、逃げ腰になる敦でしたが、同じくアンに捕らえられていた鴎外に引き留められました。
鴎外は弱腰になっている敦に「戦戯(ゲーム)理論研究では、危害を加えて来た敵には、徹底反撃を行うのが、論理最適解とされている。二度と反逆されぬよう、此処で徹底的に叩くのだ」と助言したのです。
この助言のおかげで敦はモンゴメリーに勝利することができたのです。
鴎外の冷静さと論理能力の高さがうかがえる言葉です。
少年、どんな困難な戦局でも、必ず理論的な最適解はある
モンゴメリーに勝利して、敦は無事に谷崎達と共に亜空間から脱出しました。
その後、鴎外に感謝の言葉を伝えると、鴎外は「少年、どんな困難な戦局でも、必ず理論的な最適解は有る。混乱して自棄(やけ)になりそうな時ほど、それを忘れては不可(いけ)ないよ。」と言って、エリスとともに立ち去ったのです。
この時、鴎外は敦に正体を晒さなかったのですが、利害関係が一致すれば、鴎外は敵とも強力することがあるということを示唆する言葉であり、同時に鴎外が優秀な司令官であることを表したセリフでもあります。
ボスというのはね、組織の長であると同時に、組織の奴隷だ

太宰治がまだポートマフィアにいた頃、太宰にはマフィアの元殺し屋で、便利屋している織田作之助という親友がいました。
しかし、織田作が、テロ集団ジイドにたった一人で戦おうとしたとき、太宰は鴎外に加勢のための兵を集めるように頼みました。
しかし、鴎外は、織田作が死ぬ気でいることを見越して、加勢を断ったのです。そして続けてこう言いました。
「太宰君。組織というのはねえ、組織の頂点であると同時に組織全体の奴隷だ。ポートマフィアを存続させるためなら、凡百(あらゆる)汚穢(おわい)に進んで身を浸さなくてはならない」
と言ったのです。その言葉を聞いて太宰は悟ったのです。鴎外は異能特務課から、異能開業許可証を得るために、織田作を利用して犠牲にしたということを。
鴎外は、冷酷な人間ではありませんが冷徹な人間であり、目的のためなら忌まわしい手段を行使する、彼の冷徹さを表した言葉といえます。
その一方で、リーダーというのは、ただふんぞり返るだけでなく、時には下っ端の人間などより、組織に対して働かなくてはならないという、厳格なリーダ論を表した言葉でもあります。
【文豪ストレイドッグス】森鴎外の異能は?
異能「ヰタ・セクスアリス」とは?
ヰタ・セクスアリスとは、森鴎外の異能で、看護婦姿をした、十代半ばくらいの少女型の異能生物を召喚する能力です。
見た目に合わず、戦闘力は高く、複数の注射器を投擲して攻撃したり、また巨大にして殴りつけることもできます。
腕力も強く、鴎外を軽々と抱えて宙に浮くこともでき、そして素早く動くこともできます。
かなり高い能力を持った異能なのですが、福沢は、悪趣味な異能と言っています。
正体は「エリス」ちゃん

実は、このヰタ・セクスアリスの正体は、鴎外といつも一緒にいる「エリス」という女の子なのです。
戦闘時とは違い、普段のエリスは十歳くらいの女の子の姿をしています。
また、エリスは鴎外に対して、罵倒したり暴言をはいたりと、かなりキツイ性格となっていますが、実はこの性格、鴎外が設定したものです。
また、過去のエリスは性格が違っており、鴎外に対して丁寧な喋り方をしています。
ちなみに、エリスとは森鴎外の小説「舞姫」のヒロインからとった名前です。
- 類似能力
- スクライド 常夏三姉妹
(少女の姿をしている異能)
- 武装錬金 エンゼル御前
- ジョジョ第五部 セックスピストルズ
(人間とコミュケーションが取れ、やたら感情表現が豊か)
【文豪ストレイドッグス】実際の文豪、森鴎外とは?
森鴎外とは?
森鴎外は、明治から大正にかけて活躍した文豪です。本名は森林太郎といい、文ストのエリスが、鴎外のことを「リンタロウ」と呼んでいるのは、これに由来しています。
文学者というだけでなく、医学博士や軍医など、多彩な活躍をしたことでも有名な人物です。
元々、医者の家系の人物であり、大変な秀才でした。やがて、軍医として東京陸軍病院に勤務するようになり、のちに軍医のトップとしての道を歩むようになったのです。
大学の医学部に在籍していた頃から、文学に対する興味が高く、医者の仕事の傍らで、執筆活動を行っていました。
代表作には、舞姫、うたかたの記、高瀬舟などがあります。
また、翻訳も多く手がけ、ルソーの「懺悔録」やエドガー・アラン・ポーの「うずしお」や「病院横町の殺人犯」などの海外小説から、「ファウスト」や「サロメ」など戯曲などを訳しました。
戦略理論にも通じており、クラウゼヴィッツの「戦争論」を翻訳したことでも有名で、文ストの鴎外がゲーム理論に昏倒しているのは、これが基となっています。
ショートスリーパーでも知られ、森鴎外が文学と医学の双方をこなせるのは、ショートスリーパーであるためなのです。
ヰタ・セクスアリスとは?
ヰタ・セクスアリスとは、哲学者である金井湛(しずか)を主人公として、彼の思春期時代に抱いた「性」への関心を物語にしたものです。
本作では、明治時代の若者がいかにして性と向き合っていたのかが語られている作品でもあります。
現在の視点で読んでみると、民俗学的な史料価値の高い作品と言えますが、内容が内容だけに、当時は発禁となっていたそうです。
ちなみに、ヰタ・セクスアリスとは、ラテン語で「性欲的生活」を意味しているのですが、幼女の姿をした異能にそんな名前をつけるあたり、やはり、文ストの鴎外は危ない趣味の人なのでしょうか。
鴎外の好物「饅頭茶漬け」とは?(飯テロ注意)
文ストの鴎外のプロフィールで、「饅頭茶漬け」と書かれているのに気づいた人もいるでしょう。
饅頭茶漬けとは、森鴎外の好物であったとされる料理で、2000年代に放映されたテレビ番組「トリビアの泉」でも紹介されていました。
ここから(矛盾しているようですが)食事中の方は読まないようにしてください。
饅頭茶漬けとは、饅頭を四つに割って、ご飯の上に乗せ、その上からお茶をかけて食べるというものです。
鴎外は医者という職業柄、食べ物や衛生に関して大変神経質で、生ものを食べようとせず、果物すら煮つけにして食べていたそうです。
それなのに、こんな変な料理を好んでいるあたり、インテリの理論家ほどおかしな趣味に行ってしまうということかもしれません。
ちなみに、実際に食べた人に言わせると、お汁粉みたいな感じとのことですが、食べてみたい方は、くれぐれも自己責任でお願いします。
【文豪ストレイドッグス】森鴎外のまとめ
時に敵でもあり、時に味方でもある森鴎外は奇妙な魅力を秘めたキャラクターと言えます。
今後の文豪ストレイドッグスでは、彼がどう動くかも見どころの一つです。