「敦君 駄目人間の演技上手いなあ………」

第一巻、第二話より。

文豪ストレイドックス
出典:「文豪ストレイドックス」公式サイト

 

突如、探偵社に恨みを抱く者が乱入して、事務員を人質にとり、立てこもってしまいます。

太宰と国木田が、事態を収束させるために策を凝らしている間、敦は、太宰から強引に頼まれて、犯人の説得して、時間稼ぎをすることになります。

敦は、犯人に怯えながら、自分のダメな箇所をひたすら述べて、犯人を刺激しないように説得しました。そして、太宰はそんな敦を見て、「駄目人間の演技が上手いなあ」とつぶやいていました。

実は、犯人の正体は谷崎潤一郎で、立てこもり事件は敦の入社試験でした。

人をもてあそぶのが好きという太宰の意地悪な一面を表している発言でもあります。

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「自殺主義者に二言は無いよ」

第一巻、第三話より。

探偵社に無事入社を果たした敦は、太宰と谷崎と谷崎の妹のナオミ、そして国木田と雑談をしているうちに、社員の前職を当ててみることになりました。

谷崎兄弟は学生、国木田は教師であることがわかりましたが、太宰だけは不明でした。

当てたら、懸賞金が貰えるという言葉に、敦が「本当に?」と念を押すと、太宰は「自殺主義者に二言は無いよ」と答えました。

太宰は軽い気持ちで言ったのかもしれませんが、彼は「自殺主義者」なので、一歩間違えると、本当に二の句がつかない状態となるので、冷静に考えると、かなり怖い発言です。

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「戦況は生き物だ、必勝の秘策が僅かな状況変化ひとつで簡単に愚策に豹変する、だから情報が大事なのだよ」

第六巻、二十四話より。

三社戦争の際、敦から、逆転の計略はないのですか?と聞かれた時、太宰は三百くらいあると、顔色も変えずに言った後、「けどね、敦君。戦況は生き物だ、必勝の秘策が僅かな状況変化で愚策に変化する。」と言いました。

現実とは、複雑な因果関係で成り立っています。どれだけ緻密な作戦であっても、所詮は頭の中で考えたもの。複雑な現実に対応できなければ意味がありません。

だから、常に情報をかき集めて、微細な変化を読み取り、その都度、作戦を考案していかなければならないのです。

太宰は三百くらいあると答えていますが、彼が常に情報を読み取って、その都度、作戦内容を頭の中で調整しているのだとすれば、三百でも少ないくらいなのかもしれません。

「自分を憐れむな 自分を憐れめば人生は終わりなき悪夢だよ」

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第七巻収録、二十五話より。

夢野久作の異能「ドグラマグラ」による精神操作で、敦は、事務員の春野やナオミを攻撃してしまい、自己嫌悪に陥ってしまいます。

太宰は、そんな敦に「たまには先輩らしいことを言おう」と言って「自分を憐れむな 自分を憐れめば人生は終わりなき悪夢だよ」と言って、喝を入れます。

人間とはもろい生き物で、些細なことで、ショックを受けたり、自己嫌悪に陥ってしまいます。

この時、自分を憐れな存在と思うようになったら、塞ぎこんで生きるか、ただ世の中を恨んで生きるかのどちらかしかありません。

そうならないためにも、ほんの少しでも心を奮い立たせて、立ち上がっていかなければならないのです。

マフィアとなって、この世の闇を見てきた太宰だからこそ、この言葉に説得力があると言えます。

「鬼は他者の裡(うち)にも鬼を見る」

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八巻、第三十五話。

三社戦争の際、社長の福沢諭吉は、太宰の仲介によってマフィアのボスである森鴎外と面会し、組合と戦うために一時停戦を申し込みました。

森は、その際、太宰に、マフィアの幹部に戻る気はないかと、尋ねましたが、太宰は「鬼は他社の裡にも鬼を見る」と言って、森の勧誘を断りました。

森は先代ボスの寝首をかいて、今の地位についたのです。しかし、森は太宰から、自分がしたように、寝首をかいてくるのではないかと危惧して、太宰を罠にはめてしまったのです。

太宰のこの一言は、非常なやり方で地位を築き上げた者の業を表しているのです。

「我々にあるのは迷う権利だ。溝底を宛もなく疾走る土塗れの迷い犬達(ストレイドッグス)のように」

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九巻、三十六話。

白鯨が横浜に落下しようとするころ、泉鏡花は警察に捕らえられ、無人機の中に幽閉されていました。

すると、無人機の通信機を通して、太宰が語りかけてきました。太宰は、探偵社の試験に合格すれば助かると言ってきましたが、鏡花は、人を殺すことしかできない自分は、虜囚になるしかないと思っていました。

そんな彼女に、太宰は静かに語りかけました。

「君の苦悩は君だけのものじゃない ”成りたいモノと向いているモノが違うとき、人は如何すればいい如何すればいい?” 生き方の正解が知りたくて誰もが闘っている。何を求めどうやって生きる。答えは誰も教えてくれない。我々にあるのは、迷う権利だけだ、溝底を宛てもなく疾走る土塗れの迷い犬達(ストレイドッグス)のように」

その言葉を聞いた鏡花は、自分を奮い立たせ、白鯨に、自分が乗っていた無人機をぶつけて、多くの人を救いました。

脱出した鏡花は、探偵社の試験に合格し、社員として迎え入れられたのです。

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