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「丁稚の芥川は騙せても、俺は騙せねえ、何しろ俺は手前の、元相棒だからな」
第三巻、十話より。
「相変わらず悪だくみかァ…」のセリフと同じく、マフィアに捕らえられた太宰に向かって言ったセリフです。
太宰と嫌味の応酬をした後、中原は「丁稚の芥川は騙せても、俺は騙せねえ」と言って、太宰が捕まった理由を問いただそうとします。
実は太宰が捕まったのは、マフィアがなぜ中島敦に懸賞金をかけてまで、捕らえようとしたのかを探るためでした。
このセリフで、中原と太宰が、かつてパートナー同志であったことが判明し、その時の経験から、中原は太宰が何かを企んでいることを見抜いていることを表しています。
「マフィアが拠点で暴れるのに、予約が要ると思うか?」
第六巻、二十二話より。
探偵社、マフィア、ギルドの三社による三つ巴の戦い「三社戦争(三社鼎立)」がはじまると、福沢諭吉は「旧晩香堂」という、講堂を拠点としました。
すると、講堂につながる地下道を通じて、マフィアの刺客が現れました。
刺客はなんと、幹部の中原ただ一人。
部下もつれずに、単身で乗り込んできたのです。それどころか、与謝野晶子と宮沢賢治が対応した際は、「たった、二人か」と余裕を見せました。
さらに、与謝野が「探偵社は事前予約制でねェ、対応が不満なら他所を中りな」と不敵に言うと、中原も負けじと「マフィアが拠点で暴れるのに、予約が要ると思うか?」と切り返してきます。
単独でも拠点を制圧できるという自信、そして、中原の好戦的な気質を表しているセリフです。
「この塵(ゴミ)片したら、次は手前(テメエ)だからな?」
第八巻、三十話
三社戦争で、ギルドを倒すために、探偵社とマフィアが一時休戦し、同盟を結ぶことになりました。
そのため、太宰がギルドに囚われていた夢野久作を助けに行ったとき、増援としてマフィアがよこした助っ人が、中原中也でした。
中原は、太宰を取り囲んだギルドの兵を一掃すると、「この塵を片したら、次は手前だからな?」と太宰に宣言。
太宰は太宰で、こうなる気がしたので、朝から憂鬱だったと吐露しました。
かつてのマフィア最強コンビ「双黒」が再結成された瞬間ですが、二人とも、とっても嫌そうなのがおかしい。
「太宰「ペトリュス」って知っているか、手前が組織から消えた夜、俺はあれの八十九年ものを開けて祝った」
第八巻、三十一話
夢野久作が囚われているアジトに潜入した中原と太宰。
お互い、思いつく限りの嫌味の応酬をした後、中原は地下室に入る際、「太宰「ペトリュス」って知っているか、手前が組織から消えた夜、俺はあれの八十九年ものを開けて祝った」と言って、自分が太宰に嫌気がさしていたことを伝えました。
ペトリュスとは、フランスの超高級葡萄酒で、厳選された原材料を使っているので、値段がとてつもなく高いのです。
中には百万円を超えるほどのものもあり、とても一般人が手をだせるものではありません。
それを開けて祝ったと言い放つあたり、中原は、心の奥底から太宰を嫌っていたようです。
一方、太宰は、マフィアを抜ける際に、中原の車に爆弾を仕掛けて行ったそうです。