ボンドルドと違っている点

両者は似ている一方で、違っている一面もあります。ボンドルドは言動こそ紳士的なのですが、子供を拉致したり、森を焼き払ったりするなど、やっていることが直接的で、暴力的です。

一方、ワズキャンはよほどのことが無い限り、直接的なことはしないし、犠牲を厭わない一方で、極力犠牲を出さないようにするタイプです。

イルミューイの子供を肉にしたのも、あくまで水もどきの症状を緩和するための手段、すなわち、隊員たちを助けるためにやっている行為なのです。

また、直接的なボンドルドとは対称的に、ワズキャンは策を弄するタイプです。

【メイドインアビス】ワズキャンの目的とは?

村を築いた理由、それは「望郷」

ワズキャンが村を築いた際、ヴエコに彼女の星の羅針盤を見たとき、自分は「望郷」を感じたと言いました。

ワズキャンの言う望郷とは、単に故郷を思う気持ちなのではなく、どんなに憧れて求めても、得られなかったものなのです。

元々、ガンジャ決死隊は、「黄金郷」と呼ばれるものを求めて、アビスの深層に向かったのですが、その一方で、ガンジャ一行が、故郷から追い出されたもの達であったと、ワズキャンやヴエコが言っている場面があります。

つまり、ガンジャ一行は黄金郷だけでなく、新天地を求めて旅をしていたことになります。

だから、ワズキャンはこの地に村を築き、自分たちの故郷にしようとしたのです。

「願い」を諦めてはいなかった

ガンジャ一行がめざした、黄金郷と呼ばれるものが何なのか、現時点でははっきりとはしていません。

六層にある遺跡のことなのか、それとも別の何かを意味している可能性もあります(リコに言わせると、六層はまだ入り口とのこと)。

かつてはアビスの底を目指した探掘家達も、村の力で成れ果てになってしまったため、村の外に出ることができなくなり、探掘を諦めてしまっているようですが、ワズキャンは、かつての己の願いであった黄金郷を諦めてはいなかったようです。

リコによると、途方もない探求心を持つワズキャンが、六層に村を築く程度で諦めるわけがないとのことです。

そして、そのため機会を虎視眈々と待ち続けていました。それがリコ達でした。

彼は、村の外からやってきたリコやレグに目をつけると、ベラフに囚われてしまったナナチを助けるために、レグをそそのかして、ファプタ(の体の一部)を代わりに差し出すように仕向けたのです。

リコをあらたな村として、再び黄金郷を目指す

ファプタの体の一部を取り込んだ村は困惑してしまい、その影響でジュロイモーが暴れ出したのです。

レグは騒動を治めるために、火葬砲を放ちましたが、村に大穴が空いてしまったので、そこからファプタが入ってきてしまいます。

イルミューイの最後の子供であるファプタは、兄弟の仇をとるために、村を破壊しはじめたのです。

一方、ファプタが村を破壊すると、ベラフは成れ果てになる前の記憶を取り戻しました。そして、ナナチを目覚めさせて、ワズキャンのたくらみを伝えたのです。

ワズキャンのたくらみとは、リコに欲望の揺籃を使わせて、新しい村を作ろうとすることでした。

アビスの底を目指そうとしているリコなら、移動式の村を作れると思ったのです。

そして、そのためにファプタに村を破壊させて、リコに欲望の揺籃を使わせるまで、追い詰めようとしていたのです。

【メイドインアビス】ワズキャンの最後

粉になって死亡するワズキャン

ファプタを引き入れる所までは、上手くいったワズキャンですが、誤算がありました。

村の崩壊とともに、アビスの原生生物が大量に押し寄せて、状況が混乱してしまったのです。

住人たちは、村が壊れたことで身体が維持できなくなって消滅、もしくは原生生物に食べられてしまいました。

ワズキャンは、村人のムーギィやマジカジャに救出されましたが、彼も、身体を保つのに限界が来てしまいます。

住民は、村の、イルミューイの力で成れ果てになったために、イルミューイが破壊されると、共倒れとなって、消滅してしまうのです。

ワズキャンは己の願いを叶えられないまま、粉になって消滅してしまいました。

ワズキャンは、どこまで見えていたのか?

巧みにリコ達を利用しようとしたワズキャンですが、結局最後は、大暴れしたアビスの原生生物達によって、手に負えなくなってしまったようです。

アビスの原生生物が大量に入り込んでくることまでは計算に入れてなかったのか、はたまた、想像以上に原生生物達が暴れ回ったのかは定かではありませんが、残念ながら彼の予知も完璧ではなかったようです。

あるいは、アビス、もしくは自然の力を完璧予知することは、ワズキャンであっても不可能なことなのかもしれません。

ナナチはワズキャンの死を看取ると、彼がどこまで未来が見えていたのか思い馳せました。

もしかすると、ワズキャンが見えていたのは、アビス全体からすれば些細なことで、アビスにはさらなる謎と神秘があったのかもしれません。

あるいは、ワズキャンはアビスのすべてを見ることが出来なかったからこそ、黄金郷を、あるいはアビスの底を目指そうとしていたのかもしれません。

【メイドインアビス】ワズキャンのまとめ

シンプルで一直線なボンドルドとは裏腹に、ワズキャンは悪とも善ともとれない複雑なキャラクターでした。

彼のノリのいい陽気な言動の裏には、常に複雑な思惑があったように思えます。アニメ第二期での、彼の活躍も興味深いところです。

 

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